撹拌機マスターへの道 7

前回はトルクから動力への変換をやりました。今回はもっと直接的に電流と電圧から撹拌所要動力を求めます。

撹拌機の動力源がモーターなら電気をつかうので、電流と電圧を測定すれば動力を求めることが可能になります。
まずは電力Eを測定するところからです。式で表現すると次式です。

直流:E=VI

単相:E=VIcosφ

三相:E=√3VIcosφ

一般的には三相交流が対象になることが多いと思います。危険物を扱う場合、防爆規格のモーターが必要になりますが、市販されている防爆モーターの大半は三相モーターなので、移行は三相を対象にします。

電力Eは電圧V、電流I、力率cosφがわかれば計算できます。

モーターが一定速で回転する(周波数が電源周波数と同じ)場合は電圧一定。基本的には力率も一定なので電流だけを測定すれば電力Eを求めることが可能です。電流はクランプメーターを使うのが一般的かと思います。力率は工場などの場合は実績値を持っているはずなので、設備を管理している人に聞いてみましょう。その程度の精度で十分かと思います。電力計を直接使えば何も考えなくて済みます。電力計が使えるなら力率が測定できますが、本末転倒になります。

モーターの回転数をインバーターで制御する場合、周波数によって電圧が変化するので、電流と同時に電圧を測定する必要があります。力率は設備を管理している人に確認してみましょう。インバーターの周波数と電圧の関係はメーカーの取説や他の解説サイトを確認してみてください。

電力Eが求まれば撹拌所要動力まであと少しです。

撹拌機にはそもそも持っている負荷があります。無負荷動力と表現します。
撹拌機には撹拌軸があるので、撹拌軸を支持する軸受けや容器と密封するための軸封部があったりします。それらは多少の抵抗を持っているので負荷として現れます。それらを電力Eから差し引いておく必要があります。撹拌機の構造によっては無視できない値になることもあるので、考慮しておくことをお勧めします。
無負荷動力は撹拌機を空運転して電力を求めるだけです。インバーターで周波数を制御する場合は、最低でも周波数3点で測定して検量線を作って比例関係にあることを確認しておきましょう。

撹拌所要動力P=電力Eー無負荷動力

次回はスケールUPについてまとめていきます。

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