撹拌機マスターへの道 1
化学業界のマストアイテム撹拌機。
使ってはいるものの、今使っている撹拌機の妥当性を明確に答えられますか?
非常に難しい問題なので、答えられる人は珍しいと思います。答えられなくて普通。考えたこともない人が多いと思います。
妥当性を明確に答えられないということは、前提条件なしでは撹拌機の仕様を決められないということです。
現状からのスケールUPもしくはDOWN、改良の延長線から抜け出すことができません。
私も大昔に調べた覚えはありますが、忘れてしまっていますので、勉強がてら記録を残していこうと思います。
行き当たりばったりなので、どこから手を付けるか難しいとこですが、今回は撹拌の分類について。
撹拌の分類
液-液系の撹拌
均相系
互いに可溶な液-液系。濃度、密度、温度などの物性を均一化させることや、化学成分間の反応が目的。
異相系
互いに完全には溶解しない液-液系。目的が多岐にわたる。より細かく分散させることが目的だったり、特定成分の分離・抽出、特定成分の反応などなど。目的が多岐にわたるため、必ずしも強力な撹拌が必要なわけでなく、適当な撹拌操作が必要。
気-液系の撹拌
微細気泡を液中に分散させることが目的の場合や、さらに気泡と液中成分の反応が目的の場合がある。反応が目的だと、必要とする反応速度に合わせた分散度(液中に分散した気泡の表面積)とする撹拌操作が必要。
固ー液系の撹拌
固体微粒子を液中に分散させることが目的の場合や、単に固体粒子の沈降防止、固体粒子の溶解や反応などが目的の場合があり、目的に合わせた撹拌操作が必要。
伝熱撹拌
槽内の液を加温、冷却する際に伝熱面の液境膜伝熱抵抗を減少させることが目的。早く加温、冷却したい場合は流速を上げるために頑張って混ぜる。流体力学で表現すると流速を上げることでレイノルズ数が大きくなって、液境膜伝熱抵抗が小さくなる。
ざっくりですが、このように分類できるようです。
液-液の均相系以外は適度な撹拌が必要ということになります。この適度ということが複雑で撹拌を難しくしています。
次回は液の粘度特性を整理しておきます。