PPA(Power Purchase Agreement)を考えてみる

ここ数年でESGやらBCPの観点でAPP(Power Purchase Agreement)の提案を受けることが増えてきた。
この手の考えは目新しいものでもないが、ローマ字で3文字にすると直観的に何かわからないので目新しく思えたり、目先の事しか考えない人たちが飛びついてしまう。売り手の説明だけを聞いていると、メリットだけが強調されるので、懸念点を中心に考えてみる。

現在PPAといえば電力販売契約のことを指す。発電の方式の多くは太陽光発電で、今後は風力なども増えていくのかもしれない。
需要家(ユーザー)専用に事業者(電力会社など)発電設備を用意するから、長期契約で電気を買い続けてねというもの。自分の敷地を貸して発電設備を導入する場合はオンサイト、自分の敷地外で発電設備を導入する場合がオフサイト。
PPAと同列で評価されるのが自己託送。それぞれの一般的な特徴は次の通り。

発電設備、土地の所有者が誰かで費用負担が異なるため、需要家が資産として何も所有しないオフサイトPPAが電気料金単価が最も高額となる。その代わり運営上の手間は何もない。オンサイトPPAでは再エネ賦課金がなく、オフサイトPPAでは再エネ賦課金が必要の差もある。

自己託送のデメリットは初期費用の大きさおよび外部委託したとしても自社の責任でメンテナンスなど運用し続けなければならないこと。キャッシュ豊富な企業でCO2削減を優先する場合はアリだと思う。リース契約というのも選択肢としてあるが、他の手法と比較してメリットが見いだせない。

PPAについては契約期間が長いというのがデメリットという評価が多いが初期費用を抑えるための制約としては妥当なのでデメリットとは感じない。総合的にみて太陽光発電パネル、パワーコンディショナーなどの耐用年数は20年程度がいいところなので設備を更新するまでは契約しろってこと。

問題なのは契約の前提条件。PPA事業者、需要家ともに20年先も存続しているし、周辺環境も現状維持が前提とするしかないところ。PPA事業者と需要家の存続は信用問題なので互いに納得すれば良いが、周辺環境の変化が厄介。想定外の変化によるものは契約の除外項目になりうる。太陽光発電などの再生可能エネルギーを使った発電および発送電分離による運用、PPAの制度は歴史が浅くて問題が一巡しておらず、想定外の環境変化が起こりうる可能性がある。想定外なので予想できないが、どのような理由にしても行き着き先は契約解除となり、契約解除した場合に発電設備が残ってしまうこと。これは契約満了の場合でも同様。残った設備は契約解除後、需要家引き渡されることが多いよう。売却先があればラッキーだが自社で運営したくなくてPPAを採用して、自社運営に切り替えるのは難しいだろうし、一時的にキャッシュアウトになる帳簿上の問題も大きい。数年内にパネルの廃棄が大問題として顕在化するので、使えない、使わないパネルを抱えてしまうのが最大のリスクと考える。パネルの処分含めた契約が可能であれば、PPAそのものにデメリットはないと考える。しかしながら、企業の電力契約は様々な要因が関係していてPPA契約と通常の電力契約を切り分けて考えられる場合もあれば制約がある場合もある。PPAを補助的な役割として導入する場合は、メインとなる電力契約を犠牲にしないよう配慮する必要がある。

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