撹拌機マスターへの道 13

前回は芯出しについて考えました。今回は危険回転数について考えます。

危険速度は一般には共振(物体が持つ固有振動数と同じ振動を外部から受けると大きく振動する現象)と説明され、共振する回転数が危険回転数です。共振は機械の性能を損ない破損の原因につながるため、固有振動数を求めることは機械設計を行う上で非常に重要で、目的は使用する回転数域から危険回転数を外すことが目的となります。

固有振動数は

固有振動数 Fn [Hz]
ばね定数 k [N/m]
質量 m [kg]

で表現されます。

固有振動数はバネ乗数kを大きくする(変形しにくくする)と大きくなり、質量を小さくしても大きくなります。バネ乗数を小さくする(変形しやすくする)と小さくなり、質量を大きくしても小さくなります。
撹拌機においてバネ乗数はシャフトの物性のことに相当し、質量はシャフトおよび撹拌翼の重量のことに相当します。固有振動数つまり危険回転数の調整はこの2つのパラメーターしかないということです。
この感覚が非常に大切です。

詳しい計算式は条件によって様々な係数をとるので、これが正解というのはありませんが、基本的には次の式からの展開になります。

Nc:危険回転数
σ:たわみ

危険回転数の計算が難しいというより、たわみを計算するための条件が複雑です。
軸受の数や軸封部の構造など千差万別といっていいぐらいあります。撹拌機を設計する業務を担当する方は頑張って条件を積み上げるしかありません。私もそうですが、撹拌機を使う側の担当者はメーカー提出の危険回転数計算書を確認できる程度の知識があれば十分だと思います。

たわみ計算の過程で、シャフトの強度チェックもできるので、ついでに確認しましょう。

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