消防法のおさらい 3 最終回
前回は『消防法上の危険物と危険物施設』を説明しました。今回は『危険物規制の体系と規制』について説明します。
【危険物規制の体系と規制について】
一般に存在している危険物質のうち、「危険物」については、消防法の規制を受けることとなり、危険物に係る運搬、貯蔵及び取扱いの基準については、消防法又は市町村の条例に定められています。
※指定可燃物とは火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火活動が著しく困難となる物品(例:合成樹脂、石炭、木材等)
【防爆】
工場の火災・爆発を防止するために、下記3つ法律があります。
1.労働安全衛生法(厚生労働省所管)
2.消防法(総務省所管 各自治体消防署)
- 電気工作物に係る法令による。
例>危険物の規制に関する政令 第9条 17号
- 危険物の貯蔵所、取扱所ごとに法令がある
- 設置許可申請、完成検査
危険物を取り扱う工場の建設、改造に於いて事前に設備の設置許可申請が必要
設置許可申請通りに完成しているかどうか、使用前検査があります。
3.電気事業法(経済産業省所管)
電気事業法で防爆に関する規定が多くあります。実務としては、こちらの方が重要かも。
<危険場所の種別>
●Zone0
爆発性雰囲気が通常の状態で、連続して又は長時間にわたって、もしくは頻繁に存在する場所
●Zone1
通常の状態に於いて爆発性雰囲気をしばしば生成する可能性がある場所
●Zone2
通常の状態に於いて爆発性雰囲気を生成する可能性が小さく、又生成した場合でも短時間しか持続しない場所
<危険場所の決定と責務>
●危険場所の種別の決定に関しては、危険物を取り扱う事業者(イメージとしてその工場の工場長)の責任で行われる
●各危険場所への電気機器(防爆機器)の適用に関しては、設計者、機器メーカー、工事業者、使用者が関連法規の適用対象になります。
●Zone0~2の危険場所に決定された時点で各種の法的制約を受けることになります。
※危険場所の種別と決定が事業者の責任で行われるということは、いくらでも嘘をつけるということです。厳密には一般取扱所なのに、少量危険物貯蔵所という申請をしてもそれは事業者の責任なので、火災や爆発が発生した場合、事業者は責任を追及されることになります。
<構造規格>
●1979年版「工場電気設備防爆指針」に準拠した防爆構造
<技術的基準対応規格>
●国際規格(IEC)に整合した技術的基準に対応したもの
・ ExdⅡBT4の様に“Ex”がつきます
<点火源と見なされない機器>
●定格電圧 1.2V以下
●定格電流 0.1A以下
●定格電力 25mW以下
<耐圧防爆構造>
●点火源を耐圧性の容器に入れ、たとえガスが侵入して爆発が起きても、周囲の危険ガスに爆発が波及しないようにした構造
<本質安全防爆構造>
●正常、又は異常な状態において点火源とならないように、電気エネルギーを抑制したもの。
●エネルギーの抑制装置–>安全保持器/バリア
<内圧防爆構造>
●点火源となりうる部分を容器で囲み、容器内部に保護ガスを加圧して満たすことによって、周囲の可燃性ガスと点火源を隔離する。
<その他>
・安全増防爆構造
・油入防爆構造
・特殊防爆構造
・粉体充てん防爆構造
・樹脂充てん防爆構造
※エアパージという防爆構造はありません。特例で守られています。
<電気設備に係る特例>
防爆構造の電気設備の設置が必要であっても,当該電気設備に防爆構造のものがない場合に限り,次の措置を施したときには,危政令第23条を適用し,危険場所に防爆構造でない電気設備を設けることができる。
電気設備を囲う容器(外箱)内の圧力を,保護気体(容器内に圧入する空気又は窒素等の不燃性の気体をいう。)により容器周囲の圧力より高く保持する措置(エアパージ)
ア )電気設備の通電中は,容器内の圧力を,容器周囲の圧力より50パスカル以上高く保持すること。
イ )容器内の圧力を検知する機器を設けるとともに,容器内の圧力が所定の値を下回った場合に警報を発し,かつ,容器周囲との圧力差が50パスカルを下回る前に自動的に電気設備の電源が遮断されること。
ウ )自動的に遮断された電源は,自動復旧しないこと。
以上で、消防法のおさらい完了です。全部を覚えることなんてできませんので、消防法概念や概略を理解して、法に抵触しそうなときは調べてみましょう。