消防法のおさらい 2

前回は『法律の目的と概要』を説明しました。今回は『消防法上の危険物』と『消防法上の危険物施設』について説明します。

【消防法上の危険物とは】

消防法(第2条第7項)では、「別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう」と定義されています。また、それぞれの危険物の「性状」は、「消防法別表第1 備考」に類別に定義されています。消防法上の危険物には、それ自体が発火又は引火しやすい危険性を有している物質のみでなく、他の物質と混在することによって燃焼を促進させる物品も含まれています。

【消防法上の危険物施設とは】

消防法で指定された数量(以下「指定数量」という。)以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設は、以下のとおり、製造所、貯蔵所及び取扱所の3つに区分されています。

※危険物施設の分類は以下にある通りで、解釈次第というか屁理屈で本来は一般取扱所のところが少量危険物貯蔵所・取扱所になったりしています(少量危険物貯蔵所・取扱所は指定数量未満を貯蔵または取り扱う場合を対象としているので、火災予防条例の対象となる)。そうすることで、法的制約がかなり緩くなるため、特に建物、消火設備などの設備費が安くできます。また、建屋の極一部を危険物施設とすることで、同一建屋内の非危険物エリアでも危険物を取り扱ったりもしています。もしも、そんな場所で火災が発生したら・・・、人が死亡したりするような事故が発生したら・・・、怖いですね。法令を守ることも重要ですが、安全第一で設備設計をしましょう。

<製造所>

危険物を製造する目的で指定数量以上の危険物を取り扱うため市町村長等の許可を受けた場所をいいます。

※設置や変更届は市長宛てに各種消防関係書類を申請します。どうして市長に申請するかというと、法律で市長が認めたものを危険物施設と呼ぶからです。

<貯蔵所>

指定数量以上の危険物を貯蔵する目的で市町村長等の許可を受けた場をいいます。

  ・地下タンク貯蔵所(地盤面下に埋没しているもの)

  ・簡易タンク貯蔵所

  ・移動タンク貯蔵所(タンクローリー)

  ・屋内タンク貯蔵所

  ・屋外タンク貯蔵所

  ・屋内貯蔵所(屋内に設置し、タンクを用いない。)

  ・屋外貯蔵所(屋外に設置し、タンクを用いない。)

<取扱所>

危険物の製造以外の目的で、危険物を取り扱う場所をいいます。

  ・給油取扱所(ガソリンスタンド)

  ・販売取扱所(店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱います。)

  ・移送取扱所(危険物を送るパイプライン)

  ・一般取扱所(上記以外の施設)

多くの区別に分かれています。それぞれに求められる要件が異なります。法令に基準が記載されていますが、読み取れないので、別途解説書を読むことになります。また、結構な頻度で法令は改訂されるので、それらの情報にも留意しておく必要があります。大きな工事を申請するような場合は、事前に所轄消防へ事前ヒアリングすることが多いと思います。所轄消防もすべての法令を把握しているわけではありません。特に、管轄地域で同業他社不在で自社が初進出みたいな場合は、消防の担当官も初体験なので法令を自分の解釈だけで不許可となることが結構あります。彼らも立場があるので当然で、彼らの対応が理に適ったものです。けど、他地域で認められていて、法令の解釈も理に適ったものなら彼らも許可を出してくれることが多いです。しっかり準備して、担当官が上司に説明できるだけの資料を準備して、担当官が不利な立場にならないよう心掛けて折衝を進めましょう。

次回は危険物規制の体系と規制について説明します。

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