10 空調機の冷却熱量 ~湿り空気線図の読み方~
湿り空気線図に出てくる言葉の意味は理解できたものとして、実際に使い方の説明に入ります。
例えば、夏場で乾球温度35℃、相対湿度が80%だとします。暑いので、乾球温度28℃、相対湿度が60%にしたいとします。
まず初期状態の35℃、80%にプロットします。すると比エンタルピーがわかります。ざっくり110kJ/kg[DA]です。次に目標の28℃、60%の値を読みたいところですが、先に除湿をしてあげなくてはいけません。28℃まで温度を下げるだけだと、湿度が100%を超えて水浸しです。28℃、60%のところから水平に左へいったところが28℃、60%の空気が持つ絶対湿度で相対湿度100%となる乾球温度となります。つまりここまで温度下げて、余分な水分を結露させてしまうということです。この場合だと、乾球温度は19.5℃ぐらいで、比エンタルピーは55kJ/kg[DA]くらいです。この差が冷却(空気から奪う)熱量ということになります。
このままだと目標に対して冷やしすぎているので、温める必要があります。目標の比エンタルピーは65kJ/kg[DA]くらいなので、この差が加熱(空気に与える)熱量ということになります。
冷却熱量:110-55=55kJ/kg[DA]
加熱熱量:65-55=10kJ/kg[DA]
気軽に乾球温度とか相対湿度の条件を決めましたが、日本の夏はこんなもんかもしれませんが、海外は違いますよね。目標とする条件も気軽に決めていますが、特に根拠はありません。また、今のところは比エンタルピーの差までしか読み取れていません。比エンタルピーは空気1kg当たりのエネルギーなので、このままでは必要な冷却熱量も加熱熱量もわかりません。
これらの条件を決めるのが難しいのです。
空調を考えるときに湿り空気線図が重要ということだけ覚えましょう。そして、比エンタルピーを読み取れば空調の計算ができることも覚えておけば完璧です。
次回は条件の決め方について勉強していきます。